不動産にかかる税金の種類が多くて混乱する。覚えやすい方法はないの?
FP3級の勉強でわかりにくいなと思ったところを説明します。
今回は不動産の税金についてです。
🔷本記事の内容
・実際に取得する流れで税金を説明
・状況別(取得、保有、譲渡)に一覧表で説明
・特約も一覧表で確認できる
🔷記事を書いた人
✅宅建・賃管を独学でダブル合格(2022年)
✅3児の育児と資格勉強を両立
✅FP独立開業を夢見るサラリーマン
🔷使用教材
有料教材
・LEC「FP3級 合格のトリセツ 速習テキスト」
・LEC「FP3級 合格のトリセツ 速習問題集」
不動産には様々な税金が課されるので覚えるのが大変ですよね。しかも、特例も多いし…
宅建の勉強のときは税金は丸暗記で覚えていたのですが、点数はとれても全く使えない知識でした。実際に使える知識として覚えるには、実際にイメージしながら勉強していくことが大切だと思います。
この記事を読んでもらうことで、実際の流れをイメージしながら覚えることができるようになりますよ。
不動産にかかる税金は多すぎる…
不動産に課される税金
実際に不動産を取得することをイメージしながら税金を覚えていきましょう。
✅夢のマイホーム購入しちゃった
①不動産を取得(購入、もらう)
⇒4つの税金(不動産取得税、登録免許税、消費税、印紙税)
✅マイホーム住み始めてから毎年税金払わないといけないやん
②不動産を保有
⇒2つの税金(固定資産税、都市計画税)
✅もうマイホーム売っちゃおう
③不動産を譲渡
⇒2つの税金(所得税(譲渡所得)、住民税)
実際に不動産を取得する流れで税金を勉強していくと覚えやすくなります。
不動産を取得
まずは不動産(土地、建物)を購入したり、もらったりした場合の税金から確認してみましょう。
不動産を取得したときに課される税金は「不動産取得税」、「登録免許税」、「消費税」、「印紙税」の4つです。
不動産取得税 | 登録免許税 | 消費税 | 印紙税 | |
---|---|---|---|---|
税金の説明 | 土地、建物を取得した者に対して課税する税金 | 登記するときにかかる税金 | 購入やサービス提供に課される税金 | 課税対象となる文書に課される税金 |
課税主体 | 地方税 | 国税 | 国税(地方) | 国税 |
税額 | 固定資産税評価額 × 税率3%(本則4%) | 固定資産税評価額 × 税率 | ー | 課税文書に記載された金額に応じて異なる |
備考 | 相続の場合は非課税 | 相続の場合も課税 | 土地は非課税 | 印紙がなくても契約は有効 |
この4つの税金のなかで、不動産取得税に関して「住宅の課税標準の特例」はよく試験に出題されています。
住宅の課税標準の特例
住宅の課税標準の特例 | 宅地等の課税標準の特例 | 住宅用地の税額軽減の特例 | |
---|---|---|---|
特例の内容 | 新築住宅を購入した場合、床面積50㎡以上240㎡以下で1,200万円控除 (中古住宅の場合、築年数に応じて控除額は異なる) | 宅地等の固定資産税評価額が2分の1に引き下げられる | 土地を取得後に一定の住宅を取得した場合、 土地にかかる不動産取得税が軽減される |
税額の計算式 | (新築住宅の場合) 不動産取得税 =(固定資産税評価額 ー1,200万円) ×3% | 不動産取得税額 =固定資産税評価額 ×1/2 ×3% ※2024年3月31日までの特例措置 | ①②の高い方の額 ①45,000円 ②土地1㎡当たりの価格 ×1/2 ×住宅の床面積の2倍 ×3% |
この特約に関しては、
1,200万円以下でマイホーム購入した場合、建物の購入時に税金はかからない
と覚えておけばいいと思いますよ。
不動産を保有
マイホームに住み始めてから、毎年課せられる税金です。
保有時に課される税金は固定資産税と都市計画税の2つです。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
税金の説明 | 不動産の保有時にかかる税金 | 公園や道路等の都市経学事業の費用に充てるための税金 |
課税主体 | 市町村 | 市町村 |
税額 | 固定資産税評価額 × 1.4% | 固定資産税評価額 × 0.3% |
備考 | 1月1日時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている者 | 1月1日時点の市街化区域内の土地・家屋の所有者 |
この保有時にかかる2つの税金に関しても特約があります。
住宅用地と新築住宅の特例
固定資産税の特例 | 固定資産税の特例 | 都市計画税の特例 | |
---|---|---|---|
特例 | 新築住宅の税額の減額措置 | 住宅用地の課税標準の特例 | 住宅用地の課税標準の特例 |
特例の説明 | 新築住宅を取得した場合、一定の要件を満たせば、 床面積120㎡までの部分について税額が1/2に減額される | 住宅用地の課税標準を引き下げる特例 | 住宅用地の課税標準を引き下げる特例 |
税金の計算 | (固定資産税評価額 ×1.4%) × 1/2 【特例期間】 新築一戸建て 3年間(長期優良住宅は5年間)、1/2に減額 | ・小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) 固定資産評価額 ×1/6 ・一般住宅用地 (200㎡超の部分) 固定資産評価額 ×1/3 | ・小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) 固定資産評価額 ×1/3 ・一般住宅用地 (200㎡超の部分) 固定資産評価額 ×2/3 |
例
マイホーム(床面積100㎡)の固定資産税評価額が2,000万円で、土地(150㎡)の固定資産税評価額が1,200万円の場合の固定資産税はいくらになるか?
答え
建物と土地を別々で計算する。
・建物
2,000万円×1.4%×1/2(特例)=140,000円
・土地
(1,200万円×1/6(特例))×1.4%=28,000円
建物+土地=168,000円
不動産を譲渡
土地、建物等を譲渡して得た収入は譲渡所得となり、所得税、住民税が課税されます。(タックスプランニングの所得の10分類)
🔷譲渡所得の計算式
譲渡所得の金額=譲渡収入金額ー(取得費+譲渡費用)
※取得費が不明の場合は譲渡収入金額×5%が取得費となる
譲渡所得は所有期間によって、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられ税金が異なります。
長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 | |
---|---|---|
所有期間 | 5年超 | 5年以下 |
税率 | 20.315% | 39.63% |
ここまでが不動産を譲渡した場合の基本です。
ただし不動産の譲渡の場合は特例が多く、試験でよく出題されているのでまとめておきます。
居住用財産の譲渡に係る特例
居住用財産(継続して生活のために利用している住宅家屋とその敷地)を譲渡した場合に「譲渡益が生じた場合」と「譲渡損失が生じた場合」に特例を受けられます。
🔷譲渡益が生じた場合(3つ)
①居住用財産の3,000万円の特別控除 | ②居住用財産の軽減税率の特例 | ③特定の居住用財産の買換えの特例 | |
---|---|---|---|
所有期間 | 規定無し | 10年超 | 10年超 |
併用 | ①と②は併用可 | ①と②は併用可 | × |
備考 | 譲渡所得の金額を求めるときに3,000万円控除できる。 | 6,000万円以下の部分 所得税10%、 住民税4% | 譲渡対価は1億円以下 |
この3つの特例を適用するための共通する要件は次の3つです。
🔷特例の要件
①譲渡先が配偶者や親子など特別な関係者ではないこと
②居住しなくなって売るときは居住しなくなった日から3年経過後の12月31日までに譲渡していること
③前年、前々年に居住用財産の譲渡の特例を受けていないこと
🔷譲渡損失が生じた場合(2つ)
①居住用財産の買換え等による譲渡損失の特例 | ②特定居住用財産の譲渡損失の特例 | |
---|---|---|
特例の内容 | 譲渡損失が生じた場合、10年以上の住宅ローンで居住用財産を購入した場合、 損益通算することができる。 | 住宅ローンの残高があるなどの譲渡損失が発生した場合、 買換えをしなくても損益通算することができる |
繰越控除 | 3年間 | 3年間 |
この2つの特例も前提要件があります。
🔷特例の要件
①譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年超の居住用財産
②繰越控除は合計所得金額が3,000万円以下の年に限る
まとめ
不動産にかかる税金は種類も特例も多くて覚えにくいです。
実際に自分のことでイメージしながら覚えていくと理解しやすくなります。
最後に覚えやすいように簡潔にまとめておきます。
①不動産を購入するときにかかる税金は4つ。(不動産取得税、登録免許税、消費税、印紙税)
1,200万円以下でマイホーム(50㎡以上240㎡以下)を購入した場合、特例により不動産取得税はかからない。
②マイホームを保有しているときにかかる税金は2つ。(固定資産税、都市計画税)
新築マイホームにかかる固定資産税は3年間(認定長期優良住宅5年間)は1/2(120㎡以下)。土地は1/6(200㎡以下)
③マイホームを売ったときにかかる税金は2つ。(所得税、住民税)
売ったときに3,000万円以下なら税金かからない。
最後まで読んでいただきありがとうございました
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